研究概要 |
目的 環境心理学の調査手法を用いて,(1)入院中の患者が療養環境をどのように評価しており,どのような要望を抱いているのか明らかにする,(2)看護職者が同じ環境をどのように評価しているのか明らかにする。 結果 1.データの収集 前年度に引き続き,県内の一般病床を有する病院にて実施した。対象者は,入院患者20名(前年度10名を含む),看護師20名であり,評価グリッド法によるインタビューを行った。 2.結果 患者と看護師が共通して答えた好ましい環境は「広い」,「家のようであり病院らしくない」「ながめがよい」,「明るい」などであり,療養環境に限らず日常の生活環境でも好まれる項目が挙がっていた。しかしこれらの項目をあげた理由は次のように異なっていた。患者では,「広い」ことは「プライバシーが守れる」,「お互いに音が聞こえない」,「ゆったりする」につながると考えていたが,看護師では「プライバシー」,「音]のほかに'「看護・緊急時の対応がしやすい」,車椅子など使いやすい」と考えていた。また患者は「収納設備が使いやすい」,「リラックス」,「落ち着く」など,細かな使い勝手や心理面への影響まで回答しており,自今がその環境にいることを想足して回答していると考えられだ。一方,看護師は「安全」,「車椅子でも使える」などの項目が多く,、さらに,「危険である」,[対処ができない」などの好ましくない環境の項目を答えることも多かった。看護師は,より日常生活動作レベルが低い患者を想定して,環境を安全に使えるかどうか,という視点で評価していたと言える。
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