研究概要 |
平成17年度は、グローバル化社会における異文化背景を持つ患者情報の取扱いに対する医療従事者の認識についてのH16年度の調査結果を、第6回日本医療情報学会学術大会において発表した。また、日本の看護師の異文化背景を持つ患者の看護の実際と、異文化背景をもつ患者情報の取扱いに関する認識を、インタビューを基に質的に調査を行った。本年度実施した調査の概要を示す。本調査は、2県2施設の看護師13名(内科、外科、精神科など),を対象とし半構成面接法によるインタビューとして、倫理的配慮のもとに実施した。結果は内容分析の手法に準じて整理した。日本の看護師においては、日常的に「異文化背景を持つ患者」にケアを提供する機会は少なかったが、異文化背景を持つ患者は増加してきていると認識していた。インタビューを実施した2施設ともに、異文化背景を持つ患者に対する対応を行うための部署やトレーニングは実施されていなかった。患者のプライバシーに関わると感じていた状況は、「4人部屋であること」「日常生活に制限があること」であった。また、「家族構成や家族の関係」「病名」「現病歴」「既往歴」「検査データ」「感染症」など治療に関わる情報、「名前」「名札」「住所」など入院していることが特定される情報、ボディーイメージに関わる「身体的な問題」、「愚痴」「悩み」など精神・心理的な情報、「性」に関わる情報、「職業」、「経済状態」などの情報をプライバシーに関わる情報であると認識していた。これらのことから、看護師は、異文化背景を持つ患者のプライバシーに対する配慮は行っているが、施設全体での、対応は遅れていることが示唆された。また、現在、WHOQOL26を用い、1施設の留学生および職員にQOL調査を実施している。現在、データ回収中であり、今後、報告予定である。
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