1.実験方法および項目の検討 最近の文献サーベイを行い、その結果をデータベース化し、視線および姿勢分析に関する実験項目や実験方法を調べ、その適応妥当性と有効性を検討した。アイマークレコーダを用いた階段歩行時の研究は非常に少なく、松葉杖使用時の階段歩行分析はまったくなかった。 2.実験装置の検討 視線計測については、アイマークカメラを用いたプレテストを重ね、階段特有のキャリブレーション方法や測定方法などを開発した。階段など奥行きのある3次元空間の視線計測はキャリブレーションの設定や使用する視野カメラの画角設定が非常に困難であるが、キャリブレーションの方法はオートキャリブレーションではなく研究者による独自のマニュアルキャリブレーションにより誤差が少ない計測が可能となった。プレテストの結果ほとんどの被験者において、足元や杖先から進行方向の階段先の踊り場まで、幅広い範囲を見ていることが明らかにあったため、階段歩行中のアイマークを全てカバーできる視野範囲として92度は必要であることがわかった。 姿勢計測については、3軸方向の重力加速度を用いた姿勢計測装置を試作し、プレテストを重ねたが、重力加速度と運動加速度の分離、またはノイズの除去が困難であった。運動による衝撃や運動加速度およびノイズを除去し、重力加速度のみを検出し、3軸の重力加速度から姿勢を計算するためにハイパスフィルターやローパスフィルターの利用を考えたが実用までいかなかったので、更なる検討が必要である。
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