【方法】易感染状態患者の食事制限の緩和を図るため、摂取食物と腸内感染の現状について調査した。調査は、H市内の無菌室を所有する2施設を対象に、過去2年間のカルテより便の細菌培養、血液検査、食事内容等を調査した。対象は、文書により本人または家族の同意の得られたカルテのみ調査対象とした。【結果】1.延べ58名の対象を得、AML30名、ML28名であった。男性は26名、女性32名。平均年齢は49.1歳で50代が47%を占めた。平均在院日数は20.8日。白血球数は、AMLでは0〜3×10^3/μl、MLでは0〜8×10^3/μl。入院中は83%の者が加熱食を摂取しており、58%の者に抗生剤が投与されていた。2.入院3日目から10日目の食事摂取状況は、7〜8割摂取が全体の45%、次いで10割摂取が28%を占めた。給食以外の補食の有無では34名(57%)が補食しており、その内容の多くは、パン、牛乳、カップ麺、ゼリー、ジュース、バナナ等であった。3.便培養データより、腸内常在菌以外の検出は18名(31%)で、このうち補食有は12名(35%)。また、下痢症状は全体の27%にみられたが、常在菌以外検出の18名中では2名のみで、そのうち腹痛有は1名であった。一方、補食無かつ常在菌以外検出は6名(30%)であった。【考察】半数以上の者が補食をしていたが、細菌数の多い食物は避けていた。便培養の結果をみると腸内常在菌以外のcandida、pseudombnas、S.aureus等が検出されており、入院期間中に摂取した食物から必ずしも移行したものではなく、入院前に体内へ取り込まれた可能性が示唆された。
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