研究概要 |
【目的】抑制プロトコール試案を臨床の場に導入するために,その内容を推敲する. 【方法】抑制プロトコール試案の具体的アセスメント項目について,現場で抑制施行に関与している専門職者(看護管理者,看護スタッフ,医師,リスクマネージメント等)と検討を行い,フローチャート化する. 【結果】抑制プロトコールは「I.抑制防止プロトコール(抑制適応の検討)」,「II.抑制中断プロトコール(抑制中止の検討)」に大別された.具体的なアセスメント項目を以下に記す. 「I.抑制防止プロトコール」: 1)不適応行動を誘発する物理的要因のアセスメント;(1)療養環境(室温・湿度・照明・静かさ,ベッド環境,等)の調整,(2)治療に伴う侵襲(チューブ,ライン・ルート類)の管理 2)不適応行動を助長する対象者特性のアセスメント;(1)意識レベル(術後の覚醒)状態,(2)体動・体位・安静度の程度,(3)疼痛のレベル(鎮静剤使用・程度も含め) 上記のアセスメント項目から可能な看護援助を施行しても不適切行動が除去できず,対象者に危害を及ぼす可能性のある場合,下記のステップを踏み抑制施行となる. 3)抑制施行に関する手続き:(1)本人(術前)または家族への十分な説明,(2)抑制に対する本人(術前)または家族の同意,(3)指示権限者(医師)の指示(特定の状況が規定され,指示に期限があることが前提)の手続きまた対象者に抑制を行った場合は,下記の「II.抑制中断プロトコール」が施行される. 1)抑制に伴う侵襲を最小限にするアセスメント;(1)適切な抑制部位・種類,(2)抑制部位の異常(皮膚の障害・感覚・関節拘縮・筋力低下),(3)抑制に関する患者・家族の言動,(4)睡眠状態(鎮静剤使用・量) 2)抑制を中断するアセスメント (1)意識レベル,(2)不適切行動(ニーズ)の把握,(3)指示権限者(医師)の確認にまとめられた. 今後は上記プロトコールを実践した上で,その信頼性・妥当性を検証する予定である.
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