【研究目的】 臨地実習、特に病院における看護学実習に関するインフォームドコンセントの現状と今後の課題を検討するため、本年度は以下の3点を目的とした調査を行った。 1:患者への実習協力依頼の現状を明らかにする。 2:実習時のトラブルから、実習に伴う患者側のリスクおよび学生側のリスクを検討する資料を得る。 3:学生が立案した看護計画の開示状況、そして、患者が参画することへの看護教員の意向を調査する。 【研究方法】 1:調査方法全国看護専門学校3年課程467校の教員を対象にした質問紙調査。 2:調査内容1)対象者属性、2)患者への実習協力依頼状況、3)実習時のトラブル、4)学生が立案した看護計画の開示状況等。 【結果概要】 1:調査票配布数と回収数調査実施の承諾が得られた217施設へ調査票1354部を配布し、627部回収できた。 2:患者への実習協力依頼状況教員が臨床実習指導者と相談して患者を選択し、主に臨床実習指導者や看護師長が実習開始前に口頭説明で患者へ依頼し、多くが口頭によって承諾を得ている現状が明らかになった。 ただし、文書を用いた説明実施が2割弱、そして、書面による承諾確認を約4割が行っていた。説明内容は、実習目標、学生の学習状況や実施するケアの概要が主になっていた。 3:実習時のトラブル約半数の教員は学生が実施した看護技術へのクレームを受けた経験があった。クレームは、清拭、洗髪、血圧測定、コミュニケーションが多い。実習での医療事故は未然に防いだ経験も含め、約4割以上の教員があると回答した。その内容は、転落・転倒、針刺し、爪切り時の損傷などが主であった。一方で、患者からのセクシャルハラスメントや暴力などのトラブルも数多く回答があった。 4:看護計画の開示状況約9割以上が開示していないと回答しているが、開示について今後検討していく必要性を回答したものが多かった。
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