生活背景や生活習慣が女性ホルモンバランスにどのように影響しているかを知ることを目的として、標準的な性周期である28日間において定期的にプロゲステロン、エストラジオール、ストコルチゾール、メラトニンを侵襲の少ない唾液により検出し、ホルモンバランスと月経不順をはじめとする身体症状との関係について、ホルモンレベルで解析を行った。さらに、対象者の食習慣や睡眠状況、活動スタイル(室外・室内)の時間等の生活習慣とホルモン濃度を比較することで、若年者女性の抱える身体症状にどのように生活習慣が影響を与えているのかを明確にしていくことに加えて、基礎体温による月経周期を記録することで、生活習慣、月経周期、ホルモンバランスの3つの視点から若年者女性の抱える問題についてアプローチを行った。 10名の21-22歳の女性の対象者のうち、2名が月経不順であった。月経が規則的である対象者では、メラトニン分泌が規則正しく見られたが、月経不順の対象者ではその分泌リズムが乱れていた。このことより月経周期とメラトニンとの間には何らか関係があるのではないかということが考えられる。コルチゾールとStress Response Scale-18(SRS-18)の結果には相関関係が見られた。唾液中コルチゾール濃度の測定は下垂体-副腎皮質系-機能の動態を充分に把握し得るものであり、今回用いた測定方法は、ストレス状況の程度を客観的に推測できる方法であると考える。栄養面に関しては、田嶋ほか(2001)によると、体重減少は若年女性の月経異常の主因であり、美容を目的としたダイエットが月経不順の原因の約50%を占めるとされている。今回の対象者では欠食や不規則な食生活が見られ、エネルギー所要量は日本栄養所要量を満たしていなかった。いずれの対象者も生活習慣に問題があったが、月経不順の対象者の方がストレスなどが強くみられた。
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