【目的】看護実践家に対して対話的リフレクションを意識したアプローチ(臨床実践事例検討会)を行い、個々のリフレクションの過程および臨床哲学構築のありよう、アプローチの有効性と要因の探求を目的とした。 【方法】当該の検討会を7回行った。分析は6名の参加者への面接を元に質的帰納的に行った。 【結果・考察】多くが日々の仕事に追われ臨床体験の「風化(への危惧)」を感じていた。中には新人が「考えることの規制」を受けたり「看護観の模索」を棚上げし看護への方向性を定められずにいた。 検討会を通したリフレクションの過程は「事例を描き出す」ことから始まる。参加者は提供された事例に「自身の体験の想起・重ね合わせ」、「疑似体験」を通した検討をしつつ、一方で自身の「棚上げしていた問いを想起」し「代弁される言葉」や「意味づけされ」た理解から「引きずり続ける経験」へ向き合っていた。他者との対話により「視点の拡がり」、他者との異化の認識から自身の価値を(再)認識・強化することもあった。改めて自身の看護観に向き合い酸成をさせていくが「リフレクションの視点が残る」など他者との対話的リフレクションが自身の臨床実践におけるリフレクションを促進していた。また多くが他の参加者から「モデルを得」ており「具体的方法の知識を得る」ことで看護実践のレパートリーを広げていた。 年長者では若い参加者や職場の後輩の成長を気にかけており、対話的リフレクションにより自身の臨床哲学構築が促されるが他者との関わり・働きかけによる自身のアイデンティティの深化も関連していたと考える。 こうした対話的リフレクションの要素として他の参加者への信頼や対等性、安全の保証が挙げられた。これらを確保しつつ他者と対話的に行う事例検討会の試みは、リフレクションを促進し臨床哲学構築を助長する機会として有効であると考える。
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