【目的】本研究では、湯たんぽと電気毛布の温湯と電気による熱源、および、電気毛布の使用範囲(足元・全身)の違いによる保温と安楽の効果を検証することを目的とする。【倫理的配慮】研究の実施にあたっては、聖隷クリストファー大学倫理委員会の承認を得た。対象者には研究への協力を文書および口頭で説明した。その上で、匿名性維持と秘密保持に関する事項および同意後も途中で中止できることを明記した同意書により同意を得た。【方法】同一被験者に対して「湯たんぽ」「電気毛布:足元」「電気毛布:全身」の温罨法器具を無作為に割り付け、日を変えて実施し、客観的指標(心拍数、腋窩温、皮膚温、皮膚血流量、寝床内気候)、主観的指標(温度感覚、湿度感覚、快適感)を測定した。【結果】研究協力の同意を得た健康な学生5名(女性4名、男性1名)に対して実験し、以下の結果を得た。1)熱源の違いによる保温と安楽の効果:2名の被験者が温湯を熱源とした湯たんぽを「自然でより快適」と答えた。この2名の、電気毛布(全身)使用時の腋窩温の変動を見ると、120分間に0.6〜0.9℃上昇し、他の3名に比べて変動が大きかった。一方、腰部湿度は、他の3名に比べて変動が小さかった。2)電気毛布の使用範囲の違いによる保温と安楽の効果:熱源が同じでも足元と全身では「足だけが暖かくなりすぎて不快」「全身が暖まり快適」「段々暑くなる」など、主観的指標の測定結果に個人差を認めた。【考察】熱源の違いに関わらず、温罨法を実施する際には、対象の至的寝床内気候を予測し、それを維持することが重要である。特に、電気を熱源とした温罨法器具を用いる場合は、温度感覚、腰背部湿度、体温の経時的変化から過度な保温に注意する必要がある。
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