研究概要 |
今年度は平成16年度に引き続き至適運動強度の検索を継続し,同時に激運動後の心身疲労改善に及ぼすアロマセラピーの影響を検証した. 更年期症状を有する中年期女性11人(55.0±1.6歳,Mean±SE)を,予測最高心拍数の60%相当の運動強度群(中強度群)5人と35%の群(低強度群)6人にふりわけた.前年度と同様に有酸素運動を主とした運動プログラム(1回60分程度,週2回×12週)の効果を更年期障害指数,POMS,形態(BMI,%fat),体力(筋力,柔軟性,全身持久力),および血液データ(FSH,LH,E_2,中性脂肪)から評価した.分析は前年度の被験者を加え中強度群12人と低強度群15人とした.その結果,運動プログラム後に更年期障害指数が両群とも有意な低下を認め,同様にPOMSも有意に改善した.しかし,形態,体力,および血液データは両群とも運動プログラムの影響はみられなかった.以上より従来更年期障害改善に有効とされてきた中強度運動は,より低強度の有酸素運動で代用できる可能性が示唆された. 激運動後の心身疲労改善に及ぼすアロマセラピーの影響は健康な女子大学生5人(21.0±0.1歳)に対し,15分間の無酸素運動を実施後,20分間の安静(R群),マッサージ(M群),精油吸入(芳香群),アロママッサージ(AM群)による回復期を設定した.心身疲労改善の判定は心理指標(POMSと疲労自覚症状)と血中乳酸値により行った.その結果,AM群で全身倦怠感が有意に低下し,気分不快の得点も低下する傾向が認められた.また,血中乳酸値はM群とAM群が経時的に有意な改善を示した.一方,芳香群はR群とほぼ同様のパターンを示した.以上より,激運動後の心身疲労改善には単なる精油吸入では効果がないことが明らかとなった.しかし,アロママッサージは身体疲労のみならず精神的疲労感の軽減にも有効であることが示唆された.
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