本研究の目的は、働く女性の持つ性周期に対する認識と性周期に関連したセルフケアの実践状況を明らかにし、働く女性の健康という視点から、性周期に応じたセルフケア能力の向上に向けた看護援助の方向性を見出すことである。本年度は、働く女性の性周期に関連したセルフケア経験を明らかにすることを目的に質的研究を行った。研究者の知人を介したネットワークサンプリングにより協力者を募集し、20歳代後半〜30代の女性で、首都圏に勤務する9名の研究対象者(医師:2名、保育士:4名、看護職者:3名)を得た。協力を依頼する際には、研究の趣旨、協力方法、自由参加および途中辞退の権利、プライバシーの保証等について文書を用いて説明し、研究参加への承諾を得た。データ収集内容は、基礎的情報として年齢、就労状況、初経年齢、性周期の状況(月経周期・持続期間・随伴症状の有無)、住環境、日常生活状況(食事・睡眠・運動習慣を含む)について、質問紙を用いてデータ収集し、その後、30分程度の面接調査により自身の性周期に対する認識やセルフケアの実施状況、有職女性としての性周期との付き合い方などについてデータ収集を行った。面接内容は本人の承諾を得てテープ録音し、現在、逐語録を作成中である。今後、その逐語録を分析素材とし、性周期に対する認識やセルフケア実施状況、それらへの影響要因について質的に個別分析を行う。個別分析の後、全体分析を行い、働く女性が性周期に応じた適切なセルフケアにより健康をより高め、能力を充分に発揮できるような看護援助の方向性を考察する。また、研究対象者として、学校教諭(2〜3名)と会社員(4〜5名)を新たに募集し、より幅広い職種にある対象者からデータ収集を行い、分析を進める予定である。
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