社会構造の変化に伴い、現代の子育て環境は大きく変化し、小児虐待など家族が子どもを養育する過程で起こる様々な社会問題をかかえている。一方、医療の進歩に伴い、低出生体重児もしくは何らかの障害をもつ児は長期の生存が可能になり、できるだけ早期に家庭に戻り、家族とともに生活することができるようになった。しかしながら、現段階で医療機関や地域の公的機関が行う子育て支援活動のあり方から、家族がより健全な生活を送ることができるような看護介入の有効な具体的方法を検討するには至っていないのが現状である。これらのことを踏まえ、現在、低出生体重児として出生し、何らかの障害をもつ児のうち、在宅で生活するようになってから、就学前の母子を対象とし、国内では家庭訪問による調査を継続中である。訪問時、遊び場面において、母子の観察を行った後、半構成的面接調査法および質問紙調査法にてデータ収集を行った。また、米国カリフォルニア州サンディエゴにおける低出生体重児の包括的な支援体制について調査を行った。大学病院および小児専門病院におけるNICU内での取り組みについて専門職よりインタビューを行い、退院計画カンファレンスへの参加、看護師によるフォローアップクリニックの見学を実施した。地域においては、ヘルスサービスセンターやリージョナルセンター、就学前の子どもの発達支援プログラムをもつ学校への訪問を行い、各専門職へのインタビューを行った。さらには、看護師とともに低出生体重児として出生し、障害をもつ児への家庭訪問を行い、ホームケアの実際についてその介入方法を学んだ。米国では各専門職の連携、病院と地域との継続的かつ系統的なケアの実際と看護師の役割について把握することができた。来年度は家庭訪問を継続して行い、低出生体重児として出生し、何らかの障害をもった児の退院後の効果的な育児支援の介入方法についてさらに検討を続けていく。
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