早産児として出生し、何らかの障害を持つ児と母親への効果的な育児支援の介入方法を予備的に検討することを目的とした。 調査1:早産で出生し、何らかの障害を持つ児もしくは発達外来にてフォローアップ中の児で、研究参加への承諾が得られた3歳未満の母子7組を対象に家庭訪問調査を2回行った。母子の遊び場面の観察を行った後、津守式乳幼児精神発達質問紙で発達レベルを明らかにし、子ども総研式育児支援質問紙で母親の育児不安のレベルを調査した。また半構成的面接調査にて育児への捉え方などを明らかにし、育児に関して生じる問題に対して具体的な実践レベルで支援を行った。またNCATS(Nursing Child Assessment Teaching Scale)を用い、遊び場面の母子相互作用の質を得点化した。その結果、母子相互作用では児の発達レベルが著しく伸びていた3例で1回目に比べ2回目のNCATS得点が上昇し、うち2例は親側得点のみが上昇し、1例で親側および児側の両得点が上昇していた。また子ども総研式育児支援質問紙にて育児困難感がランク5と強い育児不安を示した3例で、母親の不安・抑うつ状態も高値を示していた。この3例の母親からは面接でも強い育児不安や、児の発達への不安が語られた。 調査2:米国カリフォルニア州サンディエゴでの育児支援プログラムに関する調査を行った。医療機関や地域のセンターへの訪問、家庭訪問への同行を行い、早産で出生し、障害を持つ児の母親および看護職やソーシャルワーカーへの面接調査を実施した結果、実践レベルにおける具体的な介入方法について示唆が得られた。 早産児の母親は育児における様々な問題を抱えており、今後、発達の遅れや障害のある児では継続したきめ細かな支援が必要となってくる。定期的な家庭訪問や他職種との連携など、より包括的な支援体制の構築が望まれる。
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