●現在、外来通院している糖尿病患者が、食事療法を実践していく中で、食事療法に対する「葛藤体験」がその後の食事療法実践に対し、どのような影響を与えているかを明らかにすることを目的に、データ収集・データ分析を実施している。 ●データ収集は、半構造化質問紙を用いた面接調査を行い、データを質的に分析している。現在、11名の糖尿病患者に面接調査を実施し、10名のデータ分析を行った。研究協力者には、研究の概要を説明し、研究協力の同意を得、同意書に署名をいただいている。 ●現時点において、明らかになっている結果を以下に述べる。 1.食事療法実践に対し、特に葛藤体験の訴えがなかったものは、食事療法を実践したことから従来感じていた身体の苦痛が消失し、体調が良好であることに満足しており、食事療法を継続していく意志を表明していた。 2.食事療法実践の必要性を感じてはいるが、具体的方法がわからず、その結果食事療法を実践しても効果が得られていないものは、食事療法必要性の認識と、実践効果が現れないことの間で、葛藤を体験していた。しかしこのような糖尿病患者は、食事療法の実践方法に戸惑いを感じ、食事療法がストレスであることを訴えてはいるものの、自分なりに手探りしながら、食事療法を引き続き行っていく意志を述べていた。 3.食事療法を実践したことから、低血糖や体調の悪化を感じた体験があるものや、食事療法を実施しようとしても、仕事や社会背景から、食事療法実践が困難であると感じているものは、食事療法は必要であると述べるものの、現状とのギャップに対し、葛藤を引き起こしてはおらず、食事療法実行度は低下していた。 今後、残りのデータ収集・分析を重ね、更なる検討を加え、糖尿病患者の食事療法に対する葛藤の意味を見出し、それを基に看護援助方法を立案していきたいと考えている。
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