研究概要 |
外来で化学療法を受けている患者が増加している.このような状況下,外来治療中の看護援助だけでなく,在宅での副作用の対処方法や日常生活,仕事,家族の支援体制などを考慮し,継続した看護援助が必要とされている.そこで本研究では在宅外来がん患者やその家族を対象とした外来がん患者化学療法における遠隔看護教育システムを構築した. 実験は既構築実験システムにデジタル自動血圧計を装備し,血圧値と脈拍数を測定し,それと同時にシステムへ伝送・表示されるよう連結した.この結果,入力の手間や入力ミスを避けることができた.次に,教育指導システムに必要な項目は先行研究文献を参考に,1.化学療法に関する知識については,治療を開始するための基礎的な知識について治療の流れや,治療に伴う副作用について解説し,理解できたらチェックするようにした.不明な点については直接質問・説明できるようカメラ・ボイスシステムを装備した.2.症状コントロールについては,副作用対策の工夫について解説し,症状が出現した時,該当する項目を選択し活用する.また患者の苦痛の程度を把握するため,苦痛症状スケールSDS(Symptom Distress Scale)13項目を適用し,帰宅後に回答できるようにした.3.家族への支援については,自由に質問ができるよう相談画面を作成した.4.社会資源の活用については,活用できる社会資源項目と連絡先を追加した. 在宅と医療機関とを結ぶ遠隔看護支援教育システムは,必要な情報提供や治療に伴う副作用の対策ができ,外来で化学療法を受けている対象のセルフケアを高めることができると考えられる.今後,患者やその家族が安心しで快適に社会生活を過ごすことができるように,治療別や症状別システムなど個別性を明らかにする必要がある.またこのシステムを地域間の連携システムの構築へと拡充する必要がある.
|