研究概要 |
高齢者の医療費高騰,長期入院傾向の脱却を図るため,近年,医療費の削減,入院日数短縮化など,入院医療から外来による治療に移行している.がん治療法の一つである化学療法においても外来でおこなわれるようになってきた.欧米では,化学療法のほとんどが外来治療でおこなわれており,患者教育を含め,電話での相談や指導をおこない,また,患者ごとに電子メールでメッセージを入れているなどのサポートシステムが確立されている.入院治療と外来治療との違いは,常に在宅療養者のそばに医療者がいるわけではないため,患者・家族が主体的に症状を判断し,行動しなければならない点である.安全に医療を受けるためには,この意味でも,患者教育は重要である.そこで本研究では外来がん患者やその介護者を対象とした外来がん患者化学療法における遠隔看護教育システムを構築した. 本年度は既構築実験システムに,アンケートを実施する際,Webを利用してアンケートが実施でき,回収後のアンケート結果が自動的に集計できるシステムを開発し,看護教育システムにアップデートすることができた.Webによるアンケート実施システムは,紙面によるアンケートと共に,従来からも利用されている.とくにWeb等によるアンケートの実施に際しては,アンケート用紙固有のシステムとなっているために,Webアンケート実施プログラムを変更しなければならずプログラムの知識が必要であった.本研究で開発したWebアンケート実施システムは,プログラムの知識を必要とせず,質問項目を入力し,回収データの判定基準を入力するだけで,アンケートの実施,統計処理用のデータ判別ができるようにした.このため,看護師が自在にアンケートを実施でき,データ収集,判別が行える.従来のシステムの機能に付加した,これらの新機能を医療従事者や一般人にデモしたところ,アンケート実施を適宜行う看護師にとって,非常に利便性があるとの評価結果を得た.患者の状況を把握する上で,看護師が必要とする,信頼性と妥当性が得られているスケール等を見いだすことが必要となる.
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