平成16年度における本研究の実績としては、文献検索と資料収集と本格的なデータ収集前の事前調査(パイロットスタディ)を行った。これにより本研究の目的と背景をより明確にするとともに、実際の看護援助のニーズを把握し、データ収集に必要な質問要素の吟味を行うことができた。 第1に、文献検索を行う際のキーワードとして、「次子の妊娠出産」「意思決定」「先天異常のある子供」「看護援助」の4つをあげ、国内文献30件、海外文献5件を検索した。これらより、「障害児を育てながら妊娠・出産をする背景」「出産・育児をする意思決定要因」「看護者の支援方法」という3つの要素が抽出された。 第2に、事前調査(パイロットスタディ)では、障害のある子供をもち、その子の育児をしながら次子の妊娠・出産・育児を経験した2名の女性に対して、半構成的面接調査を行った。調査を行う際には、調査目的と方法・守秘義務・研究協力及び辞退の任意性と中断の自由について口頭で説明し、協力を得た。面接調査時の質問項目としては、「障害を持つ子供が産まれた時の気持ち」「障害を持つ子供の療育体験」「同胞との関係」「次子妊娠を考えた背景」「次子出産・育児の体験」等の5点について質問し、回答を得た。得られた結果について、スーパーバイザー2名のアドバイスを受けながら、内容検討をした。 パイロットスタディの検討をふまえ、当初では面接調査のみを実施する予定であったが、面接時の研究協力者の状態や、研究者とのコミュニケーションに差が生じ、有効なデータ収集ができない可能性もあるという示唆が得られた。そこで研究デザインを、量的・質的研究法とし、半構成的に質問項目を考えた上で、面接調査と質問紙調査とを組み合わせる方針とした。 以上のことから、本研究再開後の研究計画としては、質問項目の吟味・データ収集および分析・結果の総括を行う予定である。
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