初回虚血性心疾患患者の退院後の取り組みを明らかにし、さらに、男女で比較すると共通点と相違点にはどのような特徴があるのかを見出すことを目的とした。本年度は、新たに公立総合病院に研究協力を依頼し、複数施設でのデータ収集を行った。データ収集は、半構成的面接を中心とし、観察記録と電子カルテからの情報を補足的データとして用いた。面接は原則として2回、(1)退院後初めての外来受診時(2)退院後約2ヵ月目の外来受診時に行う予定としたが、語りを追加する必要があり、承諾を得られ場合はさらに1〜2回面接を追加した。2回の面接が終了しているのは、男性11名(42〜69歳、平均年齢59歳)と女性5名(64〜79歳、平均年齢71.4歳)、病名は、急性心筋梗塞12名(男性9名、女性3名)、狭心症4名(男性2名、女性2名)であった。現在、データ分析を行っているが、この時期の患者は、外見上の変化はないものの、今までとは違う身体になったことに戸惑いながらも心臓病者になった自己と向かい合おうとする姿勢が伺えた。そして、これまでの生活を振り返り、心臓病のひきがねになったと思われる生活習慣や健康観を見直そうとする取り組みをしていた。特に、退院後初めて外来受診をするまではペース配分がわからず、体の変化に敏感になり、心臓病が悪化しないように身体をいたわりながらの生活を送っているようであった。また、本年度は男女の比較を行う予定であったが、女性対象者が小なく、性差の特徴を十分吟味するまでには至っておらず、現在も継続してデータ収集を行っている。対象者数に偏りが生じた要因の1つとして、女性対象者は男性よりも高齢で、男性に比べ研究参加への承諾を配偶者など家族にゆだねるケースが多く、研究参加に消極的であったことなどが考えられ、今後の課題としてあげられた。
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