本研究は周産期の夫婦の性意識・性行動を「性交」という観点だけではなく、心身社会的変化による影響や夫婦の関係性、親役割の観点から明らかにし、それを基に看護者としてのケアを検討すること目的としている。今年度は、平成16年度の面接調査の結果をふまえ、妊産婦を対象に質問紙調査を実施した。対象は、青森県・秋田県内の病院における妊娠期のマタニティ・セミナーを受講した夫婦、同様に両県の保健センターでの3・4ヶ月児乳児健診、5ヶ月児親子ふれあい教室、7ヶ月児離乳食講習会、1歳6ヶ月児幼児健診を受診した夫婦(パートナー同士も含む)500組(1000部)であった。質問紙は、研究補助者と共に口頭で研究の主旨・内容等について説明し、同意の得られた夫婦に配布し、後日郵送にて回収した。質問紙の内容は(1)対象属性、(2)妊娠および産後の性生活(3)パートナーとの性的コミュニケーション、(4)親役割の受け止め方、(5)セックスレスの危機感、(6)周産期の性の相談等についてであった。現在(平成16年3月末日)の回収率は12.3%であった。そのうち性別構成比は男性42.1%、女性57.9%であり、平均年齢は男性30.9歳、女性29.8歳であった。周産期の性に関する相談については、集団指導として性の指導を希望すること、妊娠・産後の性生活に関する小冊子があれば活用したいとの結果であった。質問紙調査を用いて、個別に介入する対象者を募集したところ妊婦2名の希望があり、各過程で介入を実施する予定である。また、平成16年度の面接結果を第25回日本性科学会にて口頭発表した。発表内容について投稿依頼を受け原稿準備中である。次年度は、質問紙調査の結果を受け、周産期の性に関する小冊子を作成し、マタニティ・セミナーへの介入をも検討している。
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