本研究は、近年増加してきている外来化学療法を受ける肺がん患者が、貴重な時間の中で自ら望む生活が送れるよう、治療中の体力維持・向上に向けた運動プロトコルを作成することを目的としている。先行研究において、化学療法を受けている肺がん患者の体力低下には、抗がん剤による副作用症状のみならず、治療前の身体および活動状態が予測変数として明らかにされていた。一方、運動の効果を検討している先行研究では、研究対象者が化学療法を受けている乳がん患者や、肺がん患者でも術前の患者に限定されていた。よって先行研究から、肺がん患者の体力低下に関連した要因を導き、それを改善するための運動プログラムを作成することには限界があり、むしろ化学療法を外来で受けている肺がん患者自身から体力の状態や、体力低下に関連していると考えられる要因、とりわけ体力低下予防や維持・向上に向けた取り組みについて情報を得ることが必要であることが明確になった。そのため、総合病院の看護師と定期的に勉強会を実施し、外来で化学療法を受けている肺がん患者への面接調査のためのインタビューガイドを作成した。また、これと並行して、複数の施設に研究依頼をしており、倫理審査を受けているところである。 今後、面接調査によって肺がん患者の体力と体力低下への対処の実態を明らかにし、運動プロトコル開発に取り組もうと考えている。なお、本研究は第20回日本がん看護学会にて発表予定である。
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