[目的] 10代の中絶経験者における精神的・身体的障害の有無と、その実態を明らかにする。その後、10代の中絶後の精神的障害および身体的障害の認められた者に対しては、出産回避の傾向があるかを明らかにし、さらに中絶後の精神的・身体的障害に対するケアとして有効な方法論を提示することを目的とする。今回は、10代の中絶経験者における精神的・身体的障害の実態について明らかにすることを目的する。 [方法] 中絶経験者における精神的・身体的障害の有無とその実態の解明のため、人工妊娠中絶件数は年間400件ある産婦人科の臨床現場に勤務する看護職者4名にインタビューを行った。 [結果] 10代で人工妊娠中絶を希望してくる女性は年間400件のうち約半数程度いる。身体的障害については、ほとんど認めず、多くは1月半で月経が回復するため、医療機関にフォローされる例は少ない。また、精神的なダメージについても、看護職側から把握することはできなかった。看護職として避妊の指導を主とした関わりが必要であると感じ、支援したい意志はあるが、患者の多くは生活環境に問題があるケースが多い。 [考察] インタビュー内容から10代の人工妊娠中絶後の精神的・身体的障害はほとんど認められない可能性が示唆された。しかし、看護職として避妊指導をする必要性は感じている。しかし、中絶を繰り返し行う10代の女性は生活環境の調整が必要であり、看護職が介入することは大変困難であることが伺えた。
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