研究概要 |
I.慢性的な痛みを抱える患者への看護のあり方を考えていく上での手がかりとするために、森田療法的接近法を用いた精神集団療法に参加経験のある慢性疼痛患者(腰痛、幻肢痛、末梢神経障害など)12名に、自記式質問紙調査と半構造化面接を用いて、疼痛緩和に対する具体的な対処方法などを中心に聴き取りを行った。痛みのために生じる問題を解決するために自ら用いている具体的方法として3つの特徴が見出された。1)薬剤以外にも温める・運動・趣味・気分転換・信仰・着飾るなど様々な緩和方法を複数用いていた。2)医療機関以外で代替療法・民間療法を用いるもののうち、鍼・マッサージ・アロマセラピーなどエビデンスが確立されつつある療法以外にも、除霊・紙の札を飲むなど方法も利用していた。それらに支払われた金額は3,000円〜1,000,000円以上と高額の支払いをする実情があった。3)集団療法参加経験のある慢性疼痛患者は、集団療法に参加することで「痛みの話ができる・共有する」「痛みがあっても楽しむようにする」などから痛みについて話ができる場があることで語りを通して痛みに対する認識を変えるという特徴が見出せた。慢性疼痛患者に対する看護には、対話を通じて患者は様々な対処方法を駆使して完全には取り除かれない痛みと向き合っていることや、本人が独自に用いる対処方法を理解しその方法を受け止めてかかわること、個別に用いている具体的対処方法を患者教育及び実践的ケアに用いること、情報共有できるネットワークを構築することなどの役割が期待できる。 II.米国フロリダ州マイアミにあるロゾモフペインセンターで慢性疼痛治療プログラムの実際を見学し、医療チームの一員としての看護師の役割が理解できた。毎日の集団療法や本人と家族にスタッフ全員から行われる治療結果のフィードバックシステムなど、患者中心の集学的なチーム医療の効果を確認でき今後のケアを考える上での資料を得た。
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