第一次調査で得た結果の一部は次の通りである。 在宅要介護高齢者の介護を終えた後の家族介護者の、介護と死の看取りに対する達成感・満足感および介護役割喪失に伴う空虚感の状況を把握し、それらと死別前要因との関連を明らかにすること、また、死別後の生活適応を視野に入れた死別前からの介護者支援について検討することを目的に、過去1年半から2ヶ月前の間に在宅要介護高齢者を看取り終えた家族介護者を対象に質問紙調査を実施し、以下の結果を得た。1.介護を成し遂げたという達成感を抱く介護者は61人(70.9%)、満足のいく看取りをしたと感じる介護者は66人(76.7%)であった。2.介護役割喪失に伴う空虚感では、介護を終えむなしさを抱く介護者が20人(23.3%)、自分の役割がなくなったと感じる介護者は14人(16.2%)であった。3.要介護以降の被介護者との関係性と、達成感・満足感との間に有意な正の相関が認められた(p<0.05)。4.介護対処方略の下位次元の一つである「介護におけるペース配分」と達成感・満足感との間に有意な正の相関が認められた(p<0.01)。5.空虚感と続柄との間に関連が認められ(p<0.01)、多重比較の結果、夫の空虚感は息子、嫁よりも有意に高く(p<0.05)、妻の空虚感は嫁よりも高い傾向にあった(p<0.1)。6.介護中に生きがいを持っていた介護者は持たなかった者より空虚感が低かった(p<0.05)。 以上より、介護と死の看取りに対する達成感・満足感を高め、役割喪失の空虚感を軽減するための死別前における支援として、介護者と被介護者との関係性を良好に保つよう関係調整を図ること、介護者が健康を維持しながら介護できるよう、健康管理を支援すること、介護者の生きがいを尊重することが重要であると示唆された。
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