研究概要 |
本研究は在宅療養において医療依存度の高い患者を対象に,病状やADL,治療や看護,療養環境,社会資源,社会保障などが家族介護者に与える影響を包括的に評価するための介護負担感尺度を開発することが目的である.今年度は山形県内の訪問看護ステーションの事業所管理者と訪問看護師,訪問看護利用者を対象とした在宅療養患者の看護内容に関する調査を行った. 事業管理者31名,訪問看護師203名,利用者1,384名から回収が得られた.事業所は開設してからの期間は平均7.3年,開設主体は医療法人が最も多く,職員数は平均9.0人で,リハビリ職のいる事業所,事務職がいる事業所は半数に満たなかった. 訪問看護師は平均40.7歳,平均訪問看護歴4.4年,常勤が71.4%,1月あたりの訪問看護担当者数は平均30.4人であった.研修の受講経験は82.3%があり,これから受けたい研修があるものは92.1%で,ターミナルケアや呼吸管理などについてであった. 訪問看護利用者は平均79.9歳で,主病名は脳血管疾患が48.8%と最も多く,日常生活自立度ではランクC,要介護認定では要介護5が最も多かった.1週間あたりの訪問看護の平均回数は1.6回であった.看護内容の実施頻度では「毎回行なう」のが「病状観察」94.2%で最も多く,次いで「リハビリテーション」47.5%となっており,一方「ほとんど行なわない」で多かったのが「腹膜還流」,「導尿」,「透析」であった.看護内容の実施上の困難の程度では「とても感じる」の割合が最も高かったのが「ターミナルケア」32.0%,ついで「透析」28.6%,「腹膜灌流」21.1%,「問題行動のケア」20.0%であった.実施頻度は少ないが困難を感じることの多い看護内容であった.
|