本年度は、アウトカム指標に関するレビューと退院患者のフォロアップ調査を実施した。 1.アウトカム指標の検討 退院支援のアウトカムについての国内外の論文のレビューを行い、「退院後に患者が有する困り事」に目を向けることの重要性、および、その指標が確立されていないことが明らかになった。研究者が平成15〜16年に実施した研究(投稿準備中)で、「退院後の不安・困り事」の質問項目の信頼性・妥当性が検証されていることから、本研究では、既存の「在院日数」「サービス利用状況」「再入院」「満足度」に加え、「不安・困り事」にも焦点を当てることにした。 2.退院患者のフォローアップ調査および入院中の情報収集 関西圏の一般病院において、平成17年9月〜12月に退院した患者(1週間未満の入院等除く)のうち、了解が得られた全患者を対象として、調査を実施した。患者の疾患・機能状態・家族構成などの基礎情報、退院支援の依頼の有無とその内容を、受け持ち看護師が記録用紙に転記するよう依頼すると共に、退院支援のアウトカム(前述)に関する退院後の患者へのアンケート調査を実施した。175名の患者の了解が得られ、退院後のアンケートには約130名から回答が得られた。現在、アウトカム指標(不安・困り事)の信頼性・妥当性の再検証、患者の状態像と退院支援の実施との関連などの観点からの分析を行うと共に、退院支援を実施されたケースについては、その内容の詳細について情報収集を行っているところである。
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