目的は寝たきり高齢者の下腿・足部潰瘍の実態を明らかにすることである。対象は入院施設(一般病院・療養型病床群をもつ病院)の65歳以上の高齢者で、下腿・足部潰瘍を保有する患者で、かつ、本調査研究の主旨に同意が得られた患者であった。方法は実態調査型研究であり、保有者の皮膚潰瘍を直接観察した。 結果は、33名37部位の下肢潰瘍を観察した。部位は、趾 10部位、踵部 8部位、他であり殆どが足部に集中していた。深達度は、部分創損傷 17部位、全層損傷 20部位であった。 下腿潰瘍の代表である静脈性潰瘍・糖尿病性足潰瘍はなかった。病態学的診断による下腿・足部潰瘍の特徴とは異なる形状であった。創サイズ(長径×短径)は0.15〜43.25cm^2であった。血流指標であるサーモグラフでは、趾先へ向かうほどグラデーション状に温度が低下するパターンが多く、平均皮膚温は25.3℃であった。ABPIは正常域を下回っていた。主な主病名は脳血管障害により寝たきりが86%以上を占めたが、虚血性心疾患を有するもの40%、呼吸器疾患を有するもの33%であった。明らかな閉塞性動脈硬化症の診断があったものは3名であった。発生状況は不明な対象があったが、看護ケアは同様な状況であり、全員が何らかの体圧分散寝具を使用し、定期的な体位変換など、基本的な褥瘡予防ケアは実施されていた。食事摂取状況も900〜1100kcal、清潔回数も週1〜2回の特浴を受けていた。下肢に潰瘍を有する寝たきり高齢者は圧迫以外の要因が影響していると考えられた。
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