前年度に行なった収集データの解析ならびにまとめを行い、高齢者への実験方法の検討を行なった。 消化器外科病棟において、医療用粘着テープ(以下、テープとする)によるスキントラブルの発生ならびに予防対策の実施について、実態調査を行なった。 その結果、テープによるスキントラブル発生者の特徴として栄養状態が不良傾向の高齢者であることがわかった。原因は、アレルギーや化学的刺激による接触性皮膚炎であり、一般にテープによるスキントラブル発生原因で最多と言われている物理的刺激による者は認められなかった。 また、スタッフのテープ貼付・剥離方法は、文献で望ましいとされている項目を全て行っているとは言えず、特に剥離の速さや貼付部位の皮膚の清潔は配慮されていないことが多かった。しかし、病棟全体のスキントラブル発生率は低率であり、低刺激性テープによる物理的刺激の軽減が関連していると考えられた。これらから、看護者は、テープによるスキントラブルのリスクアセスメントを十分に行い、危険性が高い者には十分な予防対策を行っていく必要性が示唆された。
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