「チーム医療」に関わる理論、実証データの文献レビューと調査枠組みの検討を行った。「チーム医療」そのものに関する文献は限られているため、「医療/組織内/組織間コミュニケーション」や「患者/医師/家族関係」などのキー概念に関わる理論や実証データの文献を収集し、レビューを行った。理論枠組みについては、主に組織理論を参考にして、第一次フィールド調査を実施した。 平成17年2〜3月にかけて第一次フィールド調査として、独立行政法人国立病院機構のセンター2施設を訪問し、病院内のフィールド調査を実施した。この際に医師、薬剤課長、Clinical Research Coordinatorらへのインタビューを行い、病院内での業務、職務遂行上の問題点や課題に関して意見を得た。 フィールド調査より、同じ国立病院機構の組織であってもリーダーの考え、各職員の意識がチームの形成と機能の仕方に影響を与えていることが示唆された。またスタッフ間のコミュニケーションに関しては、個々人の専門家としての能力・技術がまず基本にあり、そしてその上で他職種からなる専門家間のコミュニケーションが成立しているようであった。またその際に組織のコミュニケーションで従来からいわれている効果的なコミュニケーション行動が、現場においても随所に使用されていることが示唆された。 消費者や患者を中心に据えた医療・福祉のあり方が問われる社会の中で、新しい職種や部門、課題達成のチームは、今後も医療・福祉の領域では増えてくることが予想される。その際に新たなチームによる活動をより円滑に、効果的に組織し、機能させる機会は増加する。このような効果的なチーム形成と機能のさせ方について、現場の活動から明らかにしていく意義は大きいと考えられた。
|