【目的】 居住環境の違いにおける施設入所痴呆性高齢者と在宅痴呆性高齢者のQOLの比較、及び各々の家族のQOLの比較を行い、認知症高齢者とその家族の看護援助の示唆を得る。 【調査方法】 調査期間は平成18年9月。痴呆性高齢者への質問は困難なため、施設入所高齢者には施設スタッフ、在宅高齢者は家族介護者に調査を依頼した。また各々の家族に対して家族介護者QOL調査を依頼した(有効回答率95.8%)。 【結果】 認知症高齢者の属性は施設群45名、在宅群47名。年齢は両群共に80歳代が最も多かった。家族介護者は施設群45名、在宅群47名。年齢は両群共に40歳〜70歳代であった。 両群のQOLの比較にはt検定を用いた。痴呆性高齢者のQLDJ尺度の下位3項目において、周囲との生き生きとした交流は施設群58.1点、在宅群57.9点(P=.973)、自分らしさの表現は45.4点:48.3点(p=.541)、対応困難行動のコントロールは74.0点:78.5点(p=.370)と有意な差は認められなかった。家族のQOL測定にはSF-36尺度を用いた。身体機能は施設群42.7点、在宅群39.3点(p=.300)、日常役割機能(身体)は39.4点:37.0点(P=.425)、身体の痛みは45.9点:44.1点(P=.423)、全体的健康観は44.4点:43.3点(p=.588)、活力は43.7点:42.7点(p=.688)、社会生活機能は38.8点:39.9点(p=.691)、日常役割機能(精神)は41.3点:38.6点(P=.370)、心の健康は44.7点:42.7点(P=.404)と有意な差は認められなかった。 【考察】 以上のことから、居住環境の違いにおいてQOLに差がないことが明らかとなった。また、痴呆性高齢者の介護者のQOLは国民標準値および同年代の標準値より低く、QOLが低い状態であることが分かった。
|