地域における介護の状況等を把握するため、様々な家族や専門職者と交流し知見を得た。『呆け老人を抱える介護者の集い』に定期的に参加した結果、在宅で認知症の家族を介護する現状や思い等を把握し、気持ちを共有しあえる場が介護継続の活力になっていることが分かった。認知症患者を抱える家族と関わる専門職者との会議からは、専門職同士の勉強会に参加しているものの、個人の思いや悩みが表出しにくく共感が得にくい現状が把握できた。また在宅療養小児と家族を対象に訪問看護ステーションの看護師、学生ボランティアと共に「お花見交流会」を行い、障害を持つ児や兄弟、親たちが外の空気に触れいきいきと過ごし、家庭の中とは違う表情を見ることや、同じ疾患で異なる年齢や症状の児や親と交流することで、笑顔が増え仲間作りの機会にすることができた。 奈良で行われた学会に参加し、アートとケアの融合と可能性を様々な分野の方々とディスカッションし、宮崎で展開していく上での知見を得ることが出来た。 またデンマークにおけるケアする人へのケアについて視察し、国が専門職の労働条件や環境に関して法的に守る・整える体制が取られていること、ケアする人のケアの基盤として、他者理解と同時に自己理解をする、自分の身を守るためにどうすれば良いのか、という教育が重要であることが分かった。 今年度の活動を通して"場を作る"というキーワードがみえてきた。仲間が集まり、普段と違う環境で新鮮な空気にふれ、新しい発見の出来る場を提供し、整備することが重要であることが示唆された。 この経過を受け『ケアする人へのケアプロジェクト』として、在宅療養児と家族、家族を支える看護師を対象に、アートを楽しむイベントを実施した。ケアする側とされる側がアート(水墨画)の実践を通して身体的・精神的な解放と楽しさを共有し、アートに囲まれた空間において参加者同士が語り合う場を提供することができた。
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