1.過疎地域の高齢者の生活実態把握と保健・医療・福祉の支援状況に関する調査 過疎地域であるA村において、75歳以上の独居高齢者ならびに高齢者夫婦のみの世帯を対象とし、高齢者個々の生活実態ならびに、高齢者の保健・医療・福祉に対する要望を捉え、高齢者が住み慣れた地域で生活し続ける上での健康生活ニーズを明らかにした。調査の結果、高齢者は、公的なサービスや支援だけでなく、別居家族や地域内の人々からの支援を受けて生活している実態が明らかになった。特に別居の子どもたちによる支援が重要であった。インフォーマルサポートも含めたケアネットワーク形成が必要であることがわかった。 2.地域ケア会議における高齢者支援の方法の検討 A村では高齢者の支援に関わる保健・医療・福祉の関係者で地域ケア会議を開催し、現状の問題点等について情報交換を実施している。その会議に参加し、1の調査結果等も報告しながら今後の対応策について検討した。これまでなんとなく捉えていた高齢者の生活実態が1の調査により具体的に見えてきたため、対応策の検討も具体的になった。 3.オーストラリアにおける保健・医療・福祉のネットワークについての情報収集 オーストラリアのビクトリア州B市において、保健・医療・福祉のシステムや看護職の役割について関係者から聞き取りを行った。また、ネットワークづくりの例として、他職種が集まる会議の様子を見学した。さらに、A村におけるネットワークづくりをどのようにすすめるとよいか、Community Action Planの手法に基づいた方法を、現地の実践家と検討した。A村において、今後も地域ケア会議の中で高齢者支援の方法を検討しながら、その過程で保健・医療・福祉関係者のネットワークづくりをしていく重要性が再確認できた。
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