本研究では、家族や地域の人々を巻き込んだ活動への発展までを視野に入れ、糖尿病予防を入り口に健康教育受講者がセルフケア能力を獲得していく過程に着目し、 1.受講者のセルフケア能力獲得過程を把握しその結果を受講者の学習援助に役立てる評価指標を作成すること 2.作成した評価指標を学習援助に用いて、組織レベルのエンパワーメントの育成を試み、そのプロセスと学習援助方法を探求すること を目的にしている。 目的1.については、評価指標として「糖尿病セルフケア能力自己評価表」を作成・改善した。本自己評価表は、<食事・運動の改善点と解決策><実行と効果の確認・修正><周囲への働きかけ><関心><休養の状況><病態理解>の6下位尺度33項目からなり、一緒に健康な生活を心がけるようになった人の有無を尋ねる2項目を除き、4段階のリッカートスケールとし、能力があると考えられるほど高い数値になるように1〜4点を割り付け得点化する。この自己評価表の内的整合性は保たれ、構成概念妥当性は因子分析と既知グループ法により支持され、自己評価表による糖尿病セルフケア能力得点は糖尿病自己管理行動得点との相関があり、基準関連妥当性もある程度確保された。なお、学習援助に役立てるため、食事の理想と実際の摂取エネルギー(カロリー)を尋ねる自由記載の質問項目を追加した35項目とした。 目的2.については、糖尿病の自主活動グループの育成に関心をもっているフィールドを設定し、糖尿病予防教室から自主活動グループ化を目指して取り組んでいる。
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