1.研究の目的 本研究は日本とカナダのバンクーバーに難民・移民として在住するヴエトナム人女性を対象として行う。調査の目的は以下の通りである。 1)ライフイベントの中で大きな位置を占める妊娠・出産を、ヴエトナム人女性が異国で体験する際に生じる問題を明確にする。2)異国における育児のプロセスを調査することにより、それが子どもたち(第2・第3世代)のアイデンティティの確立に及ぼす影響を検討する。3)日本とバンクーバーでの結果を比較検討し、異国における妊娠・出産・育児の全体像を明らかにする。また、具体的な援助の方策、特に母子保健サービスのあり方について検討し提言を行う。 2.研究の進行状況 平成16年6月〜10月にかけて、本研究に関する文献検索、ならびに調査用紙の作成をおこなった。調査内容は、(1)来日時期およびその経緯、(2)異国での生活状況、(3)妊娠・出産の現状とその問題点、(4)子育ての現状と問題点、(5)異国での母子保健におけるサポートの状況、(6)次世代へのヴエトナム文化の伝承についての思い、の6項目とした。また調査方法としては、半構造化面接を用いることとした。 平成16年11月〜12月にかけて調査用紙の翻訳とプレリミナリーテストを施行した。倫理的配慮として、調査内容を口頭にて伝え、承諾を得られた対象者とは承諾書を取り交わし施行した。調査方法としては、1人につき約3時間の面接調査を行った。調査の結果を踏まえ、調査内容の検討、作成を行った。 平成17年1月〜平成17年2月にかけて調査を行った。兵庫県内に在住するヴエトナム難民女性5名、カナダのバンクーバーに在住するヴエトナム難民女性8名に施行した。 平成17年3月においては調査協力者のリクルーティングを行った。現在のところ日本では15名、バンクーバーにおいても15名の確約がとれており、平成17年4月〜6月にかけて調査を施行する。
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