本研究は、精神障害者の「妄想」と「抑うつ状態」に対する症状マネジメントについて、質的研究により、明らかにし、それを臨床の新人看護師の教育に活用することを目的として取り組んでいる。そのうち、平成16年度は、精神障害者の症状マネジメントについてインタビューを行い、「妄想」と「抑うつ状態」に対する当事者自身による症状マネジメントを明らかにすることを目的として、以下のことに取り組んだ。 1.インタビューガイドを作成し、地域で精神障害者と関わっているエキスパートの看護師などから助言を得ながら、インタビューガイドの洗練化を行った。 2.当事者に精神症状について詳細にインタビューすることについて倫理的配慮を十分行いながら、かつ豊かなデータを得るために、データ収集の方法について、質的研究の経験の深い研究者から助言を得ながら、データ収集方法について慎重に検討した。 3.資料を整えて、本学の看護研究倫理審査委員会に提出し、一部修正のうえ承認を得ることが出来た。 現在は施設を通じて対象者を紹介していただき、インタビューを開始したところである。 今年度はデータ収集の準備を丁寧に行ったことや、倫理審査委員会への提出とその後の修正などに、当初予定していた以上に時間を費やした。さらに、症状について語ってくださる対象者を得ることに難航しているために、データ収集は平成17年度も続けて行う必要がある。しかし、対象者に気持ちよく語っていただくためにも、この期間は必要なものであると考えている。今後も、紹介を依頼している施設に何度か様子を伺ったり、依頼する施設をひろげながら、1例でも多くの豊かなデータが得られるよう努力したい。
|