研究概要 |
本研究では、精神看護実習において看護学生に生起したinvolvementの概念を吟味し、看護実習層での適応性を検討するために、看護学生40名を対象としてハイブリッド・モデル(Schwart-Barcott & Kim, 2000)の3段階に沿って概念分析を行った。 1.理論的段階:involvement概念の作業定義を「対人関係の過程で生起した、経験の共有・感情の投資・絆の形成・職業的境界の調整で構成される看護現象である」とした。 2.フィールドワークの段階:involvement概念の構成要素が以下のように抽出された。 「経験の共有」:患者どの相互作用により患者の経験を共有し、看護学生の経験について患者に伝えること。 「感情の投資」:患者に対して感情や関心を向けること・看護学生が自分自身の感情を自覚することなど。 「絆の形成」:患者とのつながりを深めていくこと・つながりが深まるにつれて双方を身近に感じることなど。 「職業的境界の調整」:患者との対応の中で専門職性を発揮して職業的境界の範囲を意識的無意識的に取り決め、その責任を負うことなど。 また、看護学生に適用できるinvolvement評定ツールとして、detachment(過少な)-over-involvement(過剰な)-nursing involvement(適応的な)を軸とする「involvement多軸評定表」が作成された。 3.最終分析の段階:教員および臨地実習指導者と学生がinvolvementや「巻き込まれ」に関して、その程度や注意点などを共有することができ、学生による自己の振り返りや教員および臨地実習指導者による指導に役立つと考えられる。
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