研究実績の概要 |
本研究は、ヒトの歩行やうなずきといった反復的なリズム運動が自分と他人との間で同調的に生起する現象「同調行動(シンクロニー)」が、いつ・どのように現れるのかを発達科学的アプローチから解明することを目的としている。本年度は、昨年度に整備した実験環境下(幼児とお母さんが叩くそれぞれの太鼓からの振動情報をPCで同時記録できる設計)で予備調査や本調査を進めてきた。主な対象となる3つの月齢群(18, 30, 42ヶ月児)からデータ収集を終えた。現在データを解析中であるが、予備的結果として、各月齢群における典型的な反応パターンを確認できた。本解析の結果を基に国際誌への投稿を予定している。 本年度は、また、これまで進めてきた比較認知科学研究の成果を、2017年8月に京都で開催された国際学会(The 6th Conference of the Asia-Pacific Society for the Cognitive Sciences of Music)で発表した。また、当該分野の第一人者として、Springer シリーズ Interdisciplinary Evolution researchからの依頼を受け、「霊長類における社会的同調行動」に関するレビュー論文の執筆を担当した(Yu et al., in press)。上記の比較認知科学研究の成果と本年度に進めた発達科学研究の予備的データをまとめ、2018年3月に京都で開催された国際シンポジウム「What is unique and what is typical of human mind? 」で招待講演を行った。
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