研究課題/領域番号 |
16F16009
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
藤井 崇 関西学院大学, 文学部, 准教授 (50708683)
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研究分担者 |
GOMEZ-CASTRO DANIEL 関西学院大学, 文学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | Mercenary / Greek History / Hellenistic History / Economic History |
研究実績の概要 |
本年度の主たる研究実績は、外国人特別研究員のダニエル・ゴメス=カストロ(以下ゴメスと略記)による論文出版・準備ならびに研究報告、そしてゴメスと藤井が共同で計画した国際会議に大別される。 まず、ゴメスは本研究の主要テーマである古典期・ヘレニズム期の傭兵と市場の関係について、その理論的枠組みに注目し、これまでの議論の整理と今後の展望をまとめた論文を投稿し、現在査読審査中である。また、本論文の内容の骨子を、富山県立富山高等学校で開催された日本学術振興会のサイエンスダイアログにて、高校生にわかりやすく提示し、その内容についてゴメスと生徒の間で活発な議論がおこなわれた。ゴメスは、次に、本研究が対象とする前5世紀から前4世紀にかけての政治状況について、2編の論考を執筆した。内1編が出版済み、1編が印刷中である。ゴメスは、さらに、前5世紀末から前4世紀はじめにかけて活躍したスパルタの将軍リュサンドロスを中心に、当時の戦争と国家の関係についての論文を執筆した。 次に国際会議について述べる。ゴメスと藤井は共同で、2016年11月12日に関西学院大学にて、国際会議 From the Markets to the Associations: A Comprehensive View of the Greek Mercenary World in the Classical and Hellenistic Periods を開催した。日本、韓国、イギリス、スペイン、ニュージーランドから本テーマに関係する研究者を招聘し、7本の研究報告をもとに議論をおこなった。2017年度にも同様の国際会議を開催し、両会議の成果を議事録として英文で出版する予定である。また、本会議に招聘した研究者と関西の若手研究者・院生との研究交流の場を設け(11月14日、京都府立大学)、本研究の成果をより広範に還元することを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究が2年間の業績として計画しているのは、ゴメスによる3編の学術論文の投稿・出版、そして国際会議の開催と議事録の出版準備である。本年度、ゴメスは4編の論考を完成させ、内1編が出版済み、2編が印刷中、1編が査読中である。学術論文の投稿・出版について、当初計画以上に進展しているといってよいだろう。また、国際会議の開催と議事録の出版準備については、2016年度に第1回会議を無事に成功させており、すでに2017年度の第2回会議の準備も進めている。議事録の出版についても、報告者に執筆の了解を取り付けており、順調に進めることができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
ゴメスの学術論文執筆については、まず査読中の傭兵制度の理論的側面に関する論文を、査読者のフィードバックを元に修正し、投稿を完了することを第一の目標にする。次に、戦争とポリスの具体面における事例研究として執筆中である、前5世紀末のアルカディアとアカイアに関する論文を完成させ、学術雑誌に投稿する。 2017年度3月に関西学院大学で開催を予定する第2回国際会議については、招聘者の確定などさらに準備を進める。また、本会議では、藤井もゴメスとの共同研究から生まれたテーマ(ヘレニズム期の傭兵・ヘレニズム王朝・ポリス)について報告する予定であり、藤井はその研究を進める。
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