研究課題/領域番号 |
16F16010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
貞広 幸雄 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (10240722)
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研究分担者 |
NURUNNABI ABDUL 東京大学, 空間情報科学研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | 頑健性 / 空間データ / 特徴抽出 |
研究実績の概要 |
近年,地形や人口構造物など,3次元空間オブジェクトのデータモデル構築のために,移動体に登載したレーザースキャナーやLiDAR(Light Detection and Ranging),地表面スキャンニングなどによって得られる膨大な3次元ポイントデータが用いられる.これらのデータに曲面片群や曲線分群を適合させ,そこから特徴抽出を行うことで元の空間オブジェクトを推定し構築する.この特徴抽出には,曲面の分割,平滑化,適合の反復が必要であるが,この処理は測定誤差や異常値に敏感であり,収束計算が長時間に及んだり,手作業が必要になることがある.そこで本研究では,道路面構造物に代表される人工地物に焦点を当て,迅速にデータモデル構築を行うための新たな手法を提案する.特にここでは,特徴抽出において自然地物と人工地物を予め分離し,後者のみを抽出することで,頑健性と高速性の両立を図る. 本年度は,既存の特徴抽出手法の詳細なレビューを実施した.画像処理の分野に相当の研究蓄積があるものの,離散的ポイントデータ,特に3次元データを想定したものは限られていることから,それらを網羅的かつ体系的に分類し,それぞれの特性を明らかにした.次に,3次元ポイントデータから,サーフェスデータを復元する手法を開発した.元データの異常値や測定誤差に対応するには,手法の頑健性が肝要である.そこでここではRANSAC,ロバスト主成分分析,ロバスト回帰,及びMCMD (Maximum Consistent with Minimum Distance)アルゴリズムを援用し,安定性の高い手法を開発した.さらに,開発した手法の有効性を検証するために,実データへの適用実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手法開発,データ入手等,順調に進んでおり,計画通りと判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通り,研究を進める.まず,前年度に実施した適用実験の結果を精査する.結果が良好であればそのまま次の段階へ進むが,必要な精度が得られていない場合には,サーフェスデータの復元手法を再検討し,その改良と適用を繰り返す.次に,サーフェスデータにおいて自然地物と人工地物を分離する手法を開発する.分離にはサーフェスの分類,分割,特徴抽出などの適切な組み合わせが必要であるが,組み合わせの選択には人工知能分野の既存手法を援用する.現時点では,機械学習による組み合わせ選択と,組み合わせを所与とする方法の双方を試み,精度の高い結果を得られる方法を採用する予定である.開発した手法は,前年度取得したデータに適用し,その結果を考察する.サーフェスデータの復元手法と同様,良好な結果を得られるまで手法の改良と適用を繰り返す.年度末には,得られた研究成果の公表を行う.学会発表,学術論文執筆などの方法で,研究成果を社会に還元する.
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