研究課題
本研究の目的は日・中・韓の三カ国関係をネットワーク世界政治理論から分析することである。地政学および経済規模などから見れば、日・中・韓の三カ国関係に関する研究は非常に重要で、これまでも多くの研究が行われてきた。しかしながら、それらの研究は、主に三カ国の二国間関係や三カ国関係を政治、経済、歴史、文化などの領域別属性に分け、各部門の属性を分節的に分析する傾向が強かった。実際に、属性に基づいた分析方法だけでは現在のような複雑な三カ国の関係を十分に説明するのは難しい。そこで、本研究はネットワーク世界政治理論という新しい視角に立脚して三カ国関係をより重層的・深層的に分析する。具体的な分析方法としては、ソーシャルネットワーク分析(SNA: Social Network Analysis)を用いる。また、分析の対象としては三カ国間に形成される多様なネットワークの内、外交政策の樹立において重要なアクターであるマスメディアとシンクタンク(専門家)、市民団体からなるネットワークを扱う。28年度はメディアに着目して日・中・韓の三カ国関係をネットワーク世界政治理論から分析した。そのために、中国を訪問してアンケート調査を実施した。同様に、韓国にも訪問し、アンケート調査を実施した。さらに、東京を中心として日本のメディアについても調査を実施した。こうした調査結果を基にして、論文を作成し、英文ジャーナル(SSCIジャーナル)への投稿のための準備をした。
2: おおむね順調に進展している
本研究は日・中・韓の三カ国関係をネットワーク世界政治理論から分析する。特にソーシャルネットワーク分析(SNA: Social Network Analysis)という新しい分析方法を用いて三カ国関係をより重層的・深層的に分析する。具体的な分析の対象としては三カ国間に形成される多様なネットワークの内、外交政策の樹立において重要なアクターであるマスメディアとシンクタンク(専門家)、市民団体からなるネットワークを対象にする。現在までマスメディアに対する分析を行い、その論文をジャーナルに掲載した。また今はシンクタンク(専門家)を対象に日・中・韓の知識ネットワークについて分析を行っている。これは8月に国際学会で発表する予定である。
本研究は3段階に分けて行われる。 本年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)の第1段階に続いて次年度(平成29年4月1日~平成30年3月31日)は第2段階と第3段階に該当し、前述した目的を達成するために主にシンクタンク(専門家)と市民団体に対する分析を行う。第2段階としては、三カ国の主要シンクタンクと専門家からなるネットワークを分析し、第3段階としては、三カ国の主要な市民団体からなるネットワークを分析する。このために、3国の関係に関する研究が盛んに行われている三カ国の研究機関と主な市民団体を訪ね、基礎資料を集める必要がある。得られた結果を基にして、シンクタンク(専門家)と市民団体からなる 日・中・韓三カ国の新たな関係を明らかにし、さらに、これらの研究成果を各々一つの論文として結実させ、学会発表とSSCI級の著名国際学術誌に投稿する。
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The Journal of Contemporary China Studies
巻: 18 ページ: 1-28
Journal of China Knowledge Network
巻: 8 ページ: 228-238