研究課題
ブラックホール連星合体のパラメータを推定する際に、将来の地上の重力波干渉計と衛星による重力波検出器からの観測を組み合わせることの利点の研究をさらに推し進めました。これは我々の以前の研究(PTEP 053E01(2016))を拡張したものです。以前の研究ではアンテナパターンに関して平均化した上で、自転を伴わない連星合体に特化するという単純化をおこなっていました。今回の拡張では、歳差運動は考慮しないものの軌道角運動量と平行な自転が大きい可能性も考慮した上で、連星の天球上の位置や軌道角運動量の向きに関してもどれだけの精度で決定できるかという点に着目しました。「アインシュタイン望遠鏡」に代表される第3世代の地上重力波干渉計と提案されている宇宙重力波干渉計DECIGOを組み合わせた場合に焦点を当てています。DECIGOの前段階として、より感度の低いB-DECIGOというミッションも提案されています。B-DECIGOの場合には、太陽周回軌道だけではなく、太陽同期地球周回軌道の可能性も検討されています。本研究では、B-DECIGOを用いても、太陽周回軌道であれば、宇宙重力波干渉計と地上の重力波干渉計の情報を合わせることにより、天球上の位置の特定において立体角にして2桁程度の改善を得ることができることを実証しました。一方で、太陽同期地球周回軌道では、同様の改善は得られないことも明らかになりました。この研究は、将来の重力波天文学にとって特に重要な意味をもちます。なぜなら、天球面上の位置決定精度を向上させることで、これらの連星系のホスト銀河が特定できる可能性がさらに高まるからです。太陽周回軌道のB-DECIGOであれば、ギガパーセクスケールであっても、ホスト銀河との相関を議論することで宇宙論モデルの独立な決定に十分に用いることが可能であることを明らかにしました。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
巻: 2018 ページ: 033(23pages)
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Physical Review D
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