研究課題/領域番号 |
16F16026
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
櫻井 博儀 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 主任研究員 (70251395)
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研究分担者 |
CORTES SUA MARTHA 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-10-07 – 2019-03-31
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キーワード | エキゾチック原子核 / 魔法数 / 単粒子軌道 / インビームガンマ線分光 |
研究実績の概要 |
平成29年度は理化学研究所「RIビームファクトリー」(RIBF)で実験を行った。 実験では、厚い液体水素標的システムを利用して強度の低い中性子過剰核に対するルミノシティを最大にするとともに、標的システムの周りにはガンマ線検出効率の高いNaI検出器をアレイ状にならべ、反応時に脱励起したガンマ線を検出した。反応生成物はSAMURAI磁気分析装置を利用した。SAMURAIは広い運動量アクセプタンスがあり、その特徴を生かしてひとつの磁場設定で広範な反応生成物を一度に検出することができた。さらに中性子検出器も前方に配置することで、ガンマ崩壊する束縛状態だけでなく、中性子放出をともなう非束縛状態の探索も行った。放射性同位体ビームもSAMURAIの特徴に合わせ、純度をあえて落とし、多くの核種が同時に標的に照射されるように工夫をし、多核種の多反応チャンネルを観測した。 実験中のオンライン解析で、未知中性子過剰核のガンマ遷移を大量に観測していることを確認でき、世界的なインパクトをもつデータを取得することに成功した。特に特筆すべき点としては、核子ノックアウト反応のチャンネルだけでなく、複数の核子がはじき出される多くの反応チャンネルについてデータを取得することができたことである。これにより、未知核の性質を多角的に研究することができる。 実験終了後は直ちにオフライン解析を行い、検出器群の精密構成や反応生成物の粒子識別に必要な飛跡再構成などを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたように多くの未知核についてデータが得られ、研究は極めて円滑に実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
申請段階では、Ca同位体の偶奇核の分光を目的としていたが、本年度取得したデータは未知の偶偶核に関する新しい情報も含んでいる。研究期間内に世界的なインパクトが期待できる偶偶核Ti-62に関するデータを早期に出版する戦略を選択した。その理由としてまず偶偶核の解析は偶奇核にくらべ解析が比較的短時間で終了することができる。Ca同位体の殻進化のメカニズムとして核子二体有効相互作用の変化と核子の三体力効果の二つが議論されており、研究戦略として、まずTi-62データから二体力の変化を抑えたのち、次にCa同位体の偶奇核の論文を準備する予定である。
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