研究課題
知的探査ロボットのSLAM(Simultaneous Localization and Mapping,自己位置推定と環境地図作成を同時に行うこと)及びナビゲーションの新規手法を構築した.具体的には,SLAM分野における未解決問題である「(1) 知能化空間の構築におけるサービスロボットの知的ナビゲーション」,「(2) 音響カメラを用いた水中SLAM」について,それぞれ新しいパラダイムの確立を目指することを目的として研究を進めた.(1)については,分散センサから得られる動的な環境情報も同時に処理可能な新しい移動ロボットのナビゲーションパラダイムを構築すると同時に,環境内の分散センサの配置を地図情報のみで自動的にキャリブレーションする手法を構築した.(2)については,陸上環境において確立されているSLAM技術を発展・応用することで水中における新しい超音波SLAMの枠組みを構築した.平成28年度は,基本原理を確立し,新しいパラダイムの基盤確立を目指した.(1)については,環境中に複数台のカメラを設置し,それらをネットワークで接続することにより,知能化空間を構築した.この際,ロボットによるSLAMを通じて生成した地図情報を用いて,ネットワークカメラの位置・姿勢を自動的に求める手法を新規に提案した.(2)については,音響カメラで取得した音響カメラ画像を用いて,音響カメラの位置・姿勢を自動的に計測する手法を構築した.一般的な光学カメラ画像では奥行き方向の情報が未知である一方,音響カメラの場合では奥行き情報は画像に表現されるため方向角情報が未知であり,両者は基本的な原理が異なっている.そこで,音響カメラを用いた3次元計測の幾何学を新規に構築した.具体手には,音響カメラ画像情報からロバストな特徴点抽出手法,オプティカルフロー計算手法,特徴点を用いたSLAM手法を新規に提案した.
2: おおむね順調に進展している
平成28年度に計画していた内容をおおむね達成できたため.
平成29年度は,前年度に確立した新しいパラダイムを実際に用いるための新しい枠組みを構築し,提案したパラダイムの有効性を示すことを目指す.(1)については,前年度に構築したカメラの位置・姿勢計測手法を発展・応用させ,分散カメラから得られる知能化環境に対する動的な情報と,静的な地図情報を適切に統合する枠組みを構築し,新しい移動ロボットのナビゲーション手法(知能化空間におけるロボットの自己位置推定法や運動制御手法)を提案する.(2)については,超音波カメラを搭載した水中ロボットの6自由度の位置・姿勢情報及び環境に対する3次元情報を計測可能な水中SLAMアルゴリズムを新規に構築し,水中環境においてその有効性を検証する.以上により,極限環境における知的探査ロボットのSLAMおよびナビゲーションの新パラダイムを確立し,有効性を実証する.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
Robotics and Autonomous Systems
巻: Vol. 87 ページ: 313-328
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Journal of Institute of Control, Robotics and Systems
巻: Vol. 22, No. 11 ページ: 952-959
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