研究課題
がん組織は多様な種類の細胞によって構成されており、それらの細胞間の相互作用はがん細胞の制御に密接に関わっている。従って、がん治療において根治を目指すには、がん細胞だけでなく、がん組織を制御する新たなアプローチが有効である。そこで本研究では、がん組織の微小環境やネットワークを標的化することを目的として、がんのイメージングやフォトサーマル治療のためのナノデバイスの開発を行っている。当該年度は、がん細胞を標的化するための新規リガンド分子として2種類の低分子化合物A,BをPEG末端に導入し、チオール-金結合を利用してリガンド分子を表層に導入したポリマー被覆金ナノ粒子を構築した。これらのリガンド導入金ナノ粒子については、がん細胞を用いた取り込み試験を実施し、スクリーニングを行うことによって、その化学構造やリガンド密度の最適化を行う。また、N-カルボン酸無水物の開環重合により合成したポリ(L-リシン)の側鎖に低分子化合物Bを導入することにより、がん細胞を標的化するためのポリマー型リガンド分子の開発も行った。ポリマー型リガンド分子については、化合物Aを導入したシステムに関して、がん細胞特異的な取り込み、その取り込み経路の解明、腫瘍内投与における滞留性の確認までを行っており、本研究で新たに開発した化合物Bを導入したポリマー型リガンド分子についても同様な評価を行う。以上のように、本年度は、がんのイメージングやフォトサーマル治療のための2種類のナノデバイスを構築することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画に従って、がんのイメージングやフォトサーマル治療を目的として、新規リガンド分子を導入した2種類のナノデバイスを構築することができた。
新規リガンド分子を導入した2種類のナノデバイスのがん細胞による取り込み、細胞内分布を評価し、リガンド密度等のナノデバイスの構造最適化を図る。最適化したナノデバイスに関しては、in vivo機能評価を行い、がんのイメージングやフォトサーマル治療へと応用することを目指す。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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