研究課題/領域番号 |
16F16084
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
徐 強 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電池技術研究部門, 上級主任研究員 (50357232)
|
研究分担者 |
KUMAR AMIT 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電池技術研究部門, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
キーワード | 水素 / 水素貯蔵 / エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究では広い温度領域において液体であり、水素と窒素への選択的完全分解が可能であり、充填容易且つ副生成物(窒素のみ)の回収・再生不要であることから化学水素キャリアとして高い可能性を持つヒドラジン水和物の優れた性質に着目し、高性能化学的水素貯蔵技術の確立を目的としている。3次元グラフェンを合成し、さらに、窒素含有前駆体を用いて、不活性雰囲気化で熱処理を行うことにより、窒素ドープ3次元グラフェンを合成した。これを担体として用いて、NaOHの共存条件下で前駆体金属塩の還元により二金属PtxNi1-x@3D-NG (x = 異なるPt/Ni比) 触媒を合成した。PtxNi1-x@3D-NG触媒を用いてヒドラジン水和物の分解反応を行ったところ、触媒活性・水素生成選択性は、Pt/Ni比に依存することが分かった。反応速度は反応温度に依存し、293-333 Kの温度領域では、温度上昇につれて、反応速度が増加することが分かった。Pt0.5Ni0.5/3D-NGは、高い触媒活性を示し、TOF 値は303 Kでは776 h-1に、333 Kでは1651 h-1に達した。放出ガスの体積測定から、ヒドラジンの完全分解反応H2NNH2 → N2 + 2H2が選択的に進行していることが確認された。6回繰り返し実験を行ったところ、顕著な活性低下が観測されず、触媒は比較的高い安定性・耐久性を有することが明らかになった。Pt0.5Ni0.5/3D-NG触媒の高い触媒性能は、金属間相乗効果及び金属ナノ粒子と担体との相乗効果に起因すると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究計画に沿って、合金超微粒子を担体に固定化し、ヒドラジンの低温での選択的分解・水素発生に高い活性を有する触媒を開発した。研究計画通り順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度も、研究計画に沿って実験・研究を行い、触媒の構造・組成の最適化や反応条件の最適化を行うことにより、水素放出性能の更なる向上に取り組む予定である。研究計画を変更することなく、当初計画に沿った実験・研究を実施する予定である。
|