研究課題
テトラピロールは葉緑体由来のレトログレードシグナルとして機能していると考えられている。特にヘムおよびクロロフィル中間体のMg-プロトポルフィリンIX(Mg-Proto)は、そのシグナルとしての機能が報告されている。我々は高機能アフィニティービーズ(FGビーズ)にヘムあるいはMg-Protoをリガンドとして結合させ、シロイヌナズナを材料として、その結合タンパク質についてのプロテオミクス解析を行った。その結果、複数の結合タンパク質の候補を得た。その中で、今年度はpentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質に注目して解析をおこなった。植物体でエピトープタグを付与したPPRタンパク質は、ヘムビーズへの結合性を示した。また大腸菌で組み換えタンパク質を発現させた結果、このタンパク質もヘム結合性を示した。さらにヘム結合した複合体において、吸収スペクトルのレッドシフトが認められた。さらにこのタンパク質はMg-Protoに対しても結合性を示した。一般にPPRタンパク質は核酸の塩基配列特異的な結合活性を有することから、その結合配列の予測を行った。しかし、PPRタンパク質はそのDNA配列に結合性を示さず、またヘムは結合活性に影響を与えなかった。以上の結果から、葉緑体に局在するPPRタンパク質は直接葉緑体ゲノムとの相互作用は行わずに、レトログレードシグナルに関与することが示された。またこのPPRタンパク質にヘムやMg-Protoが直接結合することで、その機能を調節している可能性が考えられた。
3: やや遅れている
PPRタンパク質以外の候補タンパク質についても同時並行的に解析を進める予定であったが、それらに関しては予定より遅れているのが現状である。
研究計画に従い研究を遂行する。
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Front. Plant Sci.
巻: 7 ページ: 1326
10.3389/fpls.2016.01326
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