研究実績の概要 |
わが国在来種であるススキ属は、C4 植物の中で最も低温環境に適応し、低温下での光合成能力が高いなどの優れた特性を有するが、そのメカニズムの全貌はいまだに明らかにされていない。そこで、ススキ属の中で特に低温耐性に優れるオギと低温適応性のない代表的なC4植物のサトウキビ品種との間で作出した属間雑種個体(ミスケーン)およびオギとススキの両親系統を供試し、RNA sequencing (RNA-seq)によるトランスクリプトーム解析を行った。 オギ(系統:都城)、サトウキビ(KR06-139)およびミスケーン(JM14-72)の個体を株分けし、ポットに移植し、温室で生育させた。各供試系統は3個体とした。人工気象器にポットを移して生育させた。常温処理(26℃/18℃、14h明/10h暗)と低温処理(15℃/10℃、14h明/10h暗)を設けた。幼齢の葉を採取してRNAを抽出し、IlluminaのTruSeq Stranded Total RNA サンプル調製キットの手順に従って、RNAライブラリー調製を行った後、Illumina HiSeqでシークエンスを行った。 RNAシークエンスの結果、163.41Gb塩基対をリードし、アセンブルにより、207,033個のunigeneを得た。Unigeneの全長、平均長、N50、GC量は、それぞれ248.821,469bp、1,201bp、1,871bp、51.3%であった。Unigeneをアノーテーションしたところ、ソルガム(64.3%)、トウモロコシ(14.7%)、アワ(7.0%)、イネ(2.6%)であった。 ミスケーンではサトウキビ由来遺伝子が110,942個、オギ由来遺伝子が71,567個であった。現在、低温シグナル伝達因子等の低温耐性関連遺伝子の発現量にについて、オギ、サトウキビ、ミスケーンの各系統間での違いを解析中である。
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