大気CO2濃度増加と温暖化がイネの玄米品質に及ぼす影響を明らかにする目的で、茨城県つくばみらい市の農家水田において実施している開放系大気CO2増加(FACE)実験区内にて群落表面温度を開放系で増加させる温暖化実験装置(T-FACE)を用いた加温処理を平成28、29年度の2ヵ年行った。今年度は、過去2ヵ年のデータの解析を進めるとともに、結果の取りまとめを行った。 その結果、200ppmのCO2濃度増加により収量は平均15%増加したが、約1.6℃の群落加温処理によりその増加は3%に低下した。この収量増加率低下の主要因は、稔実および登熟の低下であることが分かった。玄米の外観品質においては、CO2濃度の増加により白未熟粒率が増加し、整粒率は平均16%低下した。さらに加温処理が加わることにより、整粒率はさらに低下し、平均23%の低下となった。 これらの結果より、高CO2と温暖化の相互作用は収量および品質のどちらにも負の影響を及ぼし、今後の対応が必要であることが示唆された。
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