研究課題/領域番号 |
16F16120
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石川 邦夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (90202952)
|
研究分担者 |
LE Bang 九州大学, 歯学研究科(研究院), 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2016-10-07 – 2019-03-31
|
キーワード | チタンインプラント / 炭酸アパタイトコーティング |
研究実績の概要 |
チタンは生体親和性、骨結合性、耐腐食性が高いことからインプラント材料として広く利用されている。一方で、インプラント後の安定性向上の観点から、より強く骨と結合する、もしくは、積極的に骨を形成するために骨伝導性を有するチタンインプラントが求められている。骨伝導性を有するセラミック材料であるハイドロキシアパタイトをコーティングしたチタン等研究が行われているが、ハイドロキシアパタイトは骨置換性がない。一方で、ハイドロキシアパタイトの一部を炭酸基に置換した炭酸アパタイトは骨置換性があり、骨伝導性に関しても非常に高い。本研究においては、チタン表面を炭酸アパタイトコーティングしてチタンに骨伝導性を付与し、チタンインプラントとしての有用性を検討した。 平成29年度は、チタンインプラント表面にリン酸亜鉛をコーティングし、コーティングしたリン酸亜鉛を炭酸アパタイトに変換することで炭酸アパタイト被覆チタンを得る手法について検討した。リン酸亜鉛溶液に酸エッチングしたチタンを浸漬し、250℃で水熱反応したチタンを電子顕微鏡(SEM)、エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)で観察したところ、表面に結晶が析出しており、EDAXにより亜鉛、リンを含んでいることが判明した。さらに、X線回折法により表面分析したところ、結晶はリン酸亜鉛であった。次に、リン酸亜鉛被覆チタンを炭酸カルシウム溶液に浸漬し、180℃で水熱反応したところ、表面に微細な結晶が析出しており、その結晶にはカルシウムが含まれていることが判明した。XRDにより同定したところ、リン酸亜鉛の他にカルサイト、アパタイトが析出していることが判明し、炭酸アパタイト被覆チタンが得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度はリン酸亜鉛被覆チタンの調製手法を確立し、リン酸亜鉛、炭酸カルシウムが含まれているもののアパタイト被覆チタンを得ることに成功している。反応条件の最適化によりリン酸亜鉛を更にアパタイトに変換することは可能であり、残存したカルサイトも炭酸アパタイトへ変換する手法は受入研究室で確立しているため、炭酸アパタイト被覆チタンを得ることは可能と考える。また、炭酸カルシウム、炭酸アパタイトを被覆したチタンに関しても学術的には新規性が高いことから、炭酸カルシウム、炭酸アパタイト被覆チタンについても評価を行う予定である。以上のことから、平成29年度は概ね計画通りに進捗していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は得られたアパタイト被覆チタン板状ではなく、ピン状、もしくは、棒状のチタンで検討して動物実験用のサンプルを得る。これらのチタンをラット脛骨に作製した骨欠損に埋入し、トルク試験および引き抜き試験により炭酸アパタイト被覆チタンの骨伝導性を検討する。
|