本研究の目的は、人型ロボットに現れるジェンダー/セクシュアリティのバイアスを多角的に調査し、それらを学術的な知見として蓄積するだけでなく、アートとして表現することであった。ロボットを用いたアートや、ジェンダー/セクシュアリティに関する作品製作・批評分野で培われた知識を活用し、ロボットのデザインに意識的・無意識的に現れているジェンダー/セクシュアリティバイアスを、認知心理学的手法とエスノグラフィック的な方法で実証的に調べ、一般書や展示、映画の形で発表することができた。 2018年度には、今までの研究とアクティビティを取りまとめ成果の発表に重点を置いて研究を進めた。本研究のハイライトとして出し、研究成果のプレゼンス向上に努め、候補者が蓄積した技術とノウハウを帰国後に新たな研究として展開できるように、オーストラリア側との研究協力体制の深化を進めた。本研究においては、外国人研究者は、受け入れ研究者のネットワークと学術的知見を、主体的にアートの分野に取り入れることで、ロボットが現代社会に投げかける問題点をさまざまな角度から浮き彫りにすることができたと言えるだろう。
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