• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

胎児期新生児の心肺・行動計測システムと介入法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16F16307
研究機関山口大学

研究代表者

小柴 満美子  山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (90415571)

研究分担者 TAO TING  山口大学, 創成科学研究科, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2016-10-07 – 2019-03-31
キーワード胎児期新生児 / 原始音声 / 情動 / 学習 / 神経発達 / 社会性 / 認知心理
研究実績の概要

本研究は、埼玉医科大学IRB審査委員会において承認を得た内容を遵守行った。
長時間継続的に、胎児期新生児の心肺・行動情報を総合的に計測する装置を開発するため、生体音、および、環境音を微細に捉えることを目的する高精度マイクロフォンを有す騒音計を、新生児集中治療室に設置するインキュベータ内に設置し、継続記録を試みた。本装置が安全かつ有効に作動するように、本装置の安全確認は本研究開始前に3年間準備され、十分な安全性が事前に確保された。さらに、24時間医療観察の中で臨床試験を進めることができ、安全に実施された。
胎児齢期に早期に生まれた入院患児8名を主治医により無作為に対象候補とし、保護者に同意を得た確認の下に、1日から数日間の継続的記録を行った。生体の心肺音や行動音、医療従事者、父母の音声や医療介入に関わる環境音情報を包括的に記録した。容量の大きい同データに基づき、各種音を自動識別するために、周波数解析を行なった。児の音声分析では、微弱な音声A、高音圧の啼泣Bの二種音声タイプを定性的に見出し、まず、啼泣音声の自動識別のアプリケーション開発を進めた。また、環境音等の情報を識別することにより、児と環境との相互作用を調べ、児の感覚・運動機能を繋ぐ中枢神経系の認知機能発達の推定を目指し、各児の特徴や、個人差を超えた共通性の探索を続けている。
音声タイプAは全体に周波数分布域が低く纏まり、持続時間も短い特徴を示した。我々の前臨床的実験動物モデル検証において、音声周波数指標が、学習や非学習条件ごとに異なる齢依存性や情動性を示した先行知見を背景に、同様な音声分析を試行した。その結果、高音圧の啼泣Bに先立ち発せられる音声Aの周波数指標に齢依存性の特徴が示唆された。介入依存様周期で発現する構成周波数の幅が広い啼泣Bは、哺育介護に伴い消失する傾向等から、負の情動的コンテキストとの関わりが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

試作計測システムに基づく長期試験のため、試作システム作動性やその機能の問題が生じるリスクは想定されたが、順調に長期継続データを取得することができている。また、大容量データのために、分析処理の開発が困難であることが予測されたが、分析コンピューターの作動も順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

引き続き、順調に計測例数を増やし続けている本研究の主要課題である、胎児期新生児の保育器内で捉えることができる複数の生体信号を、より効率的に24時間恒常的に計測し大容量データを記録する方法を見出すと共に、神経学的発達診断を可能とする分析プログラムの探索的開発を進める予定である。心肺音のより詳細な分析について、併行して新規に開発した生体接触型計測機器を、医師に意見を求めながら医療現場に即す仕様に試作を重ねており、同検討も計る。生体音・環境音以外の臨床・環境情報との相関解析を探索する。医療現場に即した診断可視化インターフェース・アプリケーションの要件を探索する。遠隔医療を想定した、インターネットを介す複雑系情報利用の方向性を調査する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 音声および環境音の分析に基づく胎児期の発達診断2017

    • 著者名/発表者名
      吉田省吾,櫻井隼人,皆川 孝子, 陶テイ, 江 鐘偉、國方 徹也, 山内秀雄, 小柴 満美子
    • 学会等名
      日本機械学会・中国四国学生会・第47回学生員卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      広島工業大学 (広島県、広島市)
    • 年月日
      2017-03-06 – 2017-03-06
  • [学会発表] 早産新生児の眼球運動における神経発達評価2017

    • 著者名/発表者名
      中谷 優介,櫻井 隼人、皆川 孝子、 陶テイ, 江 鐘偉、國方 徹也, 山内秀雄, 小柴 満美子
    • 学会等名
      日本機械学会・中国四国学生会・第47回学生員卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      広島工業大学 (広島県、広島市)
    • 年月日
      2017-03-06 – 2017-03-06

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi